安藤淳也のニュージーランド武者修行記 2004




2004年2月23日から3月22日までの約1ヶ月間、南半球の国ニュージーランドへ武者修業に行ってきました。

なぜニュージーランドかと言うと、

@行ったことのない国だったこと
A昨年オーストラリアで行われたオセアニア選手権で日本と良い試合をした
Bカヌーポロが盛んで競技人口も多く、練習の回数や環境が良いと聞いていた

以上の理由からニュージーランドを選択した。


1. 滞在場所

オークランド(北島)      2月24日〜3月2日(8日間)
パーマストンノース(北島)   3月3日〜3月10日(8日間)
クライストチャーチ(南島)   3月11日〜3月21日(11日間)

ニュージーランドは日本のように島国であり、大きく分けると、北島と南島の二つの島から成り立つ国である。
大韓航空の韓国経由でニュージーランドのオークランドに入国した私はオークランドに滞在後、パーマストンノースまでの移動は列車を利用した。
ニュージーランドは日本のような新幹線は存在せず、のんびり時間をかけて移動することができるものだった。
しかし、貨物室がある列車だった為、追加料金10ドル(700円)を支払うことによって、カヤックを運ぶことが出来た。
パーマストンノースからウェリントンまでも再び列車を使い、ウェリントンからは国内線を使い、クライストチャーチまで移動した。ここでもカヤックは追加料金20ドル(1400円)を支払うことによって運ぶことができた。
ニュージーランドではカヌーポロはまだマイナーなスポーツであるが、カヌーはメジャーなスポーツである為、カヤックの運搬についても理解がある国であった。


2. 練習環境

@オークランド

練習は平日の夕方の7時から1時間程度で週に4回だった。4回のうち1回は近所のプールを借りてゲームを行っていた。
選手は20人ほどで、全員が集まるのは週に1度のゲームだけであった。そのほかの練習日は10人ほどの集まりで、プログラムは基礎練習が中心だった。プログラムはリサというオークランドチームのコーチが毎回考えていた。
毎回工夫を凝らしたプログラムを考えていたが、実際の試合に役立つ練習は僅かだった。
昨年のニュージーランドのナショナルゲームで男子は3位、女子は優勝という成績を残している。毎回真剣に練習をしている選手は6人ほどで、代表に選ばれている選手は男子1人、女子1人であった。
ハードコアにガツガツ練習とうよりも、楽しんでカヌーポロをしましょうという感じを大きく受けた。

Aパーマストンノース

ニュージーランドのトップチームバイキングスの本拠地であり、もっともハードコアにカヌーポロをしている町であった。
選手は20代前半の選手が多く、バイキングスに所属する選手は20人ほどだった。代表選手は男子が4人いるチームだった。
練習は週に1回チームトレーニングが屋外50mプールであり、週に1回室内25mプールであった。
その他の日は選手が自主的に集まり、夕方から2時間ほどの練習があった。夕方の練習は週に4回の練習だった。なかでも一番驚いたのが、昼の2時から毎日練習をしていた事だ。一体彼らの仕事はどうなっているのだと疑問に思った。
ここでは1日2回のトレーニング、多い時には1日3回のトレーニングだった。それを週に5〜6日やっていると言っていた。恐るべき練習量。
その甲斐あってニュージーランドチャンピオンになっている。
 
Bクライストチャーチ

ニュージーランド2番手のチームであり、近年急成長を遂げているチームである。
オセアニア選手権でニュージーランド代表のキャプテンを務めていたディーン(#1)の選手がクライストチャーチに住んでいる。彼のポロ歴は約20年になるという。誰もが一目置く選手であり、ニュージーランドで一番うまい選手である。彼は1996年の第2回世界選手権以来代表を退いていた。その理由は金銭的な面のようだ。
しかし、彼は三好での第6回大会に出場するために平日の昼休みごとに練習に来て、ハードなトレーニングを積んでいる。そして彼は日本での世界選手権の遠征メンバーに選出され、日本に来ることになった。
自分はこのエピソードを聞かされたときに、自分は今まで努力してきたつもり、カヌーポロのために全てを捧げてきたつもりでいたことに気づいた。
クライストチャーチではディーンが中心にメニューを組み、パーマストンノースから転勤してきたニックが真剣にカヌーポロに取り組むことによって、力のある若手が多く育ち、現在は代表へ5人送っている。今後更に伸びていくであろうチームである。


ここからは自分の目から見た日本とニュージーランドの違いについて書いていきたい。

<日本の強み>

@カヌーポロの戦術の理解度が高い

オセアニア選手権の遠征レポートにも少し書かれているが、ニュージーランドは近代カヌーポロには稀なディフェンススタイルのフラット4を採用している。その他のスタイルは2−2−1のプレッシングであった。尚且つ、オフェンスはラン&ガンであり、シュートやターンオーバーが多く、オフェンス、ディフェンスの切り替えがとても多い。ミスを恐れない積極的なオフェンスがされている。
しかし、勝敗の面で見ると、厳しい戦いを強いられる。彼らの考え方は点を取られたら取り返すというものであると思う。
ボールの支配率を高め、確実に仕留めていこうとしている日本チームとは正反対のオフェンススタイルである。
 
Aキーパーのセーブ力

ニュージーランド選手のシュート力はスピード、威力ともにすばらしいものがある。いいシューターがいる国には、いいキーパーがいることが多い。
しかし、ニュージーランドはお国柄か、気の短い選手が多い。
シュートを止めてやろうと考えるよりは、取られたら取り返そうと考えているらしく、キーパーの練習はあまりしていない。キーパーの目から見て、自分より上手い、もしくは同レベルのキーパーは2人ぐらいであった。
キーパーの実力から考えると日本の方が遥かに上である。

B頭のいい、賢い選手が多い

ニュージーランド選手はほとんど考えてプレーをしていないように思える。シンプルなカヌーポロを目標としているのかもしれないが、彼らが頭を使い、もっとクレバーにカヌーポロをしたら間違いなく危険なチームになる。その点で日本のほとんどの選手はクレバーであったり、スマートであったりする。日本代表のある選手が日本の強みは「ずるさ」と主張している通り、頭を使い、相手に嫌がられるカヌーポロをしていくことが必要になるであろう。

Cミドル、ロングシュート

Cの強みは自分が日本代表に生き残る為の強みでもある。
現地で練習、試合を通じてミドルシュートを打ち続けることに集中していた。
ミドルシュートが日本のオフェンスのオプションの一つになると思っているし、自分のセールスポイントでもあると思う。キーパーの実力はそこまで高くないが、ニュージーランド代表のキーパーにはほとんど止められなかった。
そこで感じたのは、自分のシュートは外国人の選手に負けていないこと。 もっと自信を持っていいのだと確信した。


<日本の弱み>

@練習量
ある週の練習メニュー
 土−10:00〜 トレーニング
 日−オフ
 月−12:30〜 トレーニング(ダッシュ、マンツーマン)
    18:30〜 トレーニング(ゲーム)
 火− 7:00〜 ジムにてウェイト
    12:30〜 トレーニング(パス、シュート練習、マンツーマン)
 水−12:30〜 トレーニング(ダッシュ、マンツーマン)
    18:00〜 トレーニング(シュート練習)
 木−12:30〜 トレーニング(パス、シュート練習、マンツーマン)
    18:00〜 トレーニング(ゲーム)
 金− 7:30〜 ジムにてウェイト
    12:30〜 トレーニング(パス、シュート練習、マンツーマン)

クライストチャーチという町に滞在したときに現地のトップ選手がしている練習である。
日本のほとんどのチームが土日を中心とした練習であり、平日はオフ、またはジムにてウェイトトレーニングがほとんどであると思う。
しかし、ニュージーランドの代表選手は1日2回の練習で、ダッシュやマンツーマンなどの練習が多く、漕ぎ込むことが多かった。全体的に漕力はニュージーランドの方が上である。日本は各選手で漕力向上に取り組んでいるが、まだまだ世界に及ばない点であると思う。

Aスピード・パワーなどの身体能力

言うまでもないが、外国人の身体能力は日本人のプレーヤーの比にならないほどのものである。2年前の世界選手権レポートにも書かれている通り、誰もがこの点において世界との差を痛感した。
6強(英・仏・独・伊・蘭・豪)と呼ばれる国々の選手は特に、スピード・パワーに勝っていると感じた。ニュージーランドは選手の技術、戦術の知識は6強国に及ばないが、スピード・パワーの点では6強に劣っていないと感じた。

B漕力

日本人選手は全体的に漕力がない。カヌーポロの基本は漕ぐことである。カヌーポロは球技であるから、戦術の理解やボールスキルの練習に集中しがちである。その練習の方が漕ぐだけの練習よりも楽しくできるからであろう。
しかし、ニュージーランドでは漕ぐ練習、マンツーマンの練習がとても多かった。その練習を通じてニュージーランドチームは漕力がある。日本人選手はもっと漕ぎこむ必要があると感じた。

Cシュート力

強みの部分では個人的な話になってしまったが、日本チームとニュージーランドチームを比べると明らかにシュート力に差がある。速さ、威力はニュージーランド選手のほうが格段に上である。更に言うと、ミドル、ロングシュートに大きな差がある。
日本代表の中でミドルシュートを思い切り打てる選手が少ないことである。速攻時にロングシュートを撃つ選手は多いが、セットオフェンスになったときに、トップスピードのドライブからミドルシュートを撃つ選手がいないと感じた。2年前の世界選手権8位に入賞した台湾の戦略は、思い切りの良いドライブとミドルシュートであった。日本にもいいシューターが多い。もっと自信を持って撃っていくことが必要だと感じた。


<ニュージーランド代表>

ニュージーランドの男子フル代表に現地で会うことができた。
選手はオークランドから1人、パーマストンノースから4人、クライストチャーチから5人が選出されている。オセアニア選手権の代表からはユース世代の合流などで変わった選手が5人いる。選手の実力が拮抗していて、尚且つ着実に若返りを果たしているニュージーランドチームの実力は未知数である。
しかし、上位進出を狙う日本代表としては倒さなくてはならないチームの一つであることには間違いない。


<全体として>

この遠征は自分に大きな収穫をもたらした。
一つ目に暖かい国に行き、毎日トレーニングが出来た。
二つ目はカヌーポロのトレーニングが出来た。
神奈川カヌークラブの練習場にはカヌーポロコートがなく、当然ゴールもない。カヌーポロで重要なシュート、キーパー練習は普段の練習では出来ないのである。遠征へ行き、毎日シュートを打ち、キーパー練習が出来たことは自分にとっては幸せなことであった。
キーパーというポジションは経験がモノを言うポジションである。いくらセンスや才能がある選手であっても、多くの人のシュートを見て、経験を積んだ者には勝てないのがキーパーというポジションなのである。
ニュージーランドでは多くのシュートを受けて経験値を上げることが出来た。同時にこれからの課題も見つかった遠征であった。
練習量の少なさである。体力、漕力にはもともと自信があった自分であるが、ニュージーランド選手の体力、漕力には脱帽するほどであった。オフトレレポートを参照してもらえれば分かると思うが、自分では練習をしているつもりになっていた。
しかし、ニュージーランドや諸外国の選手に比べれば、とても少ない練習量であり、もっと練習をしなければいけないと危機感を覚えた遠征であった。

世界選手権本大会は4、5日間で10試合近くをこなすタイトなスケジュールである。
その中で日にちの経過とともにパフォーマンスの低下を起こさないためにも3ヶ月間みっちり漕ぎ込まなければならない。

帰国後からは週に5日カヌーに乗り、漕ぎ込みを実施している。
長々といろいろなことを書いてしまって非常に読みにくい文章ですが、読んでいただいてありがとうございます。
ニュージーランドまで行って、何をしてきたのかを知っていただければ幸いです。

これからも目標を達成するために精進しますので、応援よろしくお願いします。



神奈川カヌークラブ
安藤 淳也